伝統がつちかう薬膳味噌

明治38年の創業以来、泡盛づくりの伝統を守り続けて100年以上を数える崎山酒造廠は、沖縄本島のちょうど背骨のあたりに横たわる山々に抱かれた小さな集落に佇んでいます。珊瑚で出来た沖縄では珍しい軟水が山からこんこんと湧き、その清水は美徳川の流れとなり裾野に広がる水田を潤し、やがて青く輝く金武湾に注ぎこんでいきます。集落の中心には樹齢300年を超える風水ガジュマルがそびえ立ち、人々を見守っています。

丹念に時間をかけて熟成させる三日麹、深いまろやかさを醸す長期発酵もろみ、そしてわずかな旨味のもとも見逃さない蒸留。どれもが昔ながらの泡盛づくりを頑なに守り続ける杜氏たちの手によって行われています。そんな環境の中で新たな生命を吹き込まれた沖縄薬膳美ら味噌は、豊かな自然に囲まれ、静かに熟成していきます。

眠らない蔵

崎山酒造廠の泡盛蔵から明かりが消えることはありません。なぜなら、人が眠っている間も休むことなく働き続けている麹やもろみの様子を見るために、常に杜氏たちが出入りするからです。ある杜氏が言いました。「酒づくりは子育てとおなじだよ。甘やかすばかりでも厳しくするばかりでも駄目で、手抜きしたらとたんに機嫌を損ねる。杜氏は子供から目が離せない母親みたいなものだ」と。子供を育てるように麹やもろみを慈しむその姿を妻や母になぞらえて、沖縄では『妻』と書いてトゥジ(杜氏)と呼ぶのです。

杜氏を支える女将の愛情

杜氏は古くは蔵に住み込み昼夜を分かたず働き、蔵主の家族のような存在でした。そして女将は代々、彼らを母のように妻のように支えてきたのです。時代が移り変わりマイカー通勤が当たり前になり住み込みの杜氏はいなくなりましたが、女将の杜氏たちへの愛情は今も変わることなく、だから女将は汗を流して働く杜氏たちのために、少しでも健康的で美味しいものを食べさせたいと願い食事を作るのです。

女将の愛情が生み出した薬膳味噌

そのような女将の想いから生まれた、崎山酒造廠の女将仕込みの薬膳味噌が、ついに商品になりました。使われているのは玄米・黒胡麻・はと麦・黄大豆・黒大豆の5種類で、どれもが徹底的に吟味された国内産天然素材であり、沖縄の珊瑚を育む美しい海水から生まれた自然海塩だけを使って、女将によって少しずつ丁寧に仕込まれています。添加物や防腐剤を一切使わず、沖縄の気候風土にまかせ熟成を待つ天然醸造味噌なので、大量生産がむずかしく、お手元に届くまで少々お時間を頂いています。その味わいはこれまで食べたどのお味噌とも違い、穀物が踊りはじける食感をお楽しみいただけるものと自負しています。杜氏たちへの愛情が生み出した、泡盛蔵の女将が仕込んだ薬膳味噌。泡盛蔵に伝わる女将の味を、どうぞ皆様ご賞味ください。